2010年02月19日

不幸が再生産されていますよ。【ドラッグネタ】

 「治りたい」といいながら、自らを破滅に追い込んでいるようにしか見えない依存症者の心理、と言うのは私にとって長らく謎でした。いまでもだけど。
 しかし、彼らのココロに巣くう「虚無感」が何なのかを知りたくて、アルコール依存の本や依存者の心理の本を今読んでいます。

 最近は「斎藤学(さいとうさとる)」という精神科の先生の本を読んでいます。たぶん、依存症関連では日本の第一人者なんでしょう。本もたくさん出しています。
 「家族依存症」を読んだのですが、この後半にぼそっと「薬物やアルコールに対する依存は2次的であり、嗜癖的人間関係が原発である」が書いていて、目からウロコが50枚くらい落ちました。
 つまり、アルコールや薬物依存の患者のバックグラウンドには主に家族関係における根深い問題があるわけです。「家庭」が理解や共感を示す安らぎの場ではなく、「支配する・される」だけのパワーゲームが幅を利かせる緊張状態だったわけです。



 たしかに「家族」ってかなり閉じられた特殊な環境ですもんね。
 そのなかで何が行われているかなんて、目が届きようがない。
 そう考えると・・・
 「家族」って・・・コワいいぃ(゚Д゚)!!!!!

 アルコール依存症に暴力はつきものです。ニコイチくらいの勢いです。
 しかもおそろしいことに、アルコール依存症の家庭で育つと、子供もアルコール依存症になりやすい。健常者の3-4倍くらいらしいです。
 断酒会の集まりでも「オヤジがアル中で俺達に暴力を振るったから、俺は絶対アル中にならないって誓ったのに、気付くとアル中になっていた。」という聞いてるだけで切ない体験談もちらほら聞きます。
 うぉぉぉ!!不幸が再生産されていますよ(゚Д゚)!!

 でも、これは息子が悪いわけでなく、理解や共感を示してもらえない環境で育つと、自分がストレスがかかったときにどうしていいかわからない。で、親と同じく酒に逃避してしまう。まさに「子供は親の背中を見て育つ」わけです。
  
 しかし、それでも回復の機会がまったくないか、というとそうではなく、日本中のあちこちに「断酒会」と呼ばれる組織があります。
 ココに出席し、同じ経験を持つもの同士で励ましあい、回復された方もたくさんいらっしゃいます。

 回復の鍵は「理解」それから「共感」。親から完全にはもらえなかった分を同じ体験を持つもの同士で分かち合うわけです。しかし、断酒会にたどり着くまでの道のり自体もなかなか大変だったりするわけです。一筋縄にはいかない。

 とまぁ、ここまで書いておいてなんですがあまり精神科医が出張る機会って多くはないんですよね。薬が効くわけでもないし。

 最終的にはその人の「健全な部分」に賭けるしかない。


 そんな役割なんですよね、しかも治ったとしてもあまり自分が「治した」という実感がない。だって、最終的に治ったとしたらそれはその人の力だから(笑)。でも、それがいいんだと思います。

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