2011年09月27日

はじめての宗教論 右巻 ー第1章 宗教と政治ー




第1章 宗教と政治-神話はいかに作られるのか?
<目次>
チュチェ思想とキリスト教
「国があってこそ宗教もある』
神話化のメカニズム 
チェ・ハクシンの棄教
平壌に教会ができるまで
キリスト教の積極的役割
特権なきキリスト教
神話は繰り返される
人間は宗教的動物である
「2009年8月30日」の意味
すべては「見えない世界」で起きる
 

<要約>
金正日の生誕はキリストの幼年物語と重なる部分が多い。
 これは正日氏の両親が熱心なキリスト教であったからだと考えられる。
しかし、同時にひとりの偉大(とされる)人間がどう神格化されていくかのプロセスを知る紐解いていくことができる。
しかし、チュチェ思想確立期の1966年ごろにはキリスト教徒はピョンヤンから追い出され、地方に逃れていた。我々はチュチェ思想以外は何も(宗教的心理すら)いらない、と示されていた。
だが、1980年に韓国でソウルオリンピックが開かれたのに対抗して、ピョンヤンで世界青年学生平和祭典が開かれた。それにさきだち世界各国からキリスト教徒も来るのに、ピョンヤンに教会がないのはみっともないと金正日からキリスト教の教会を立てるよう命令が下された。以来、ピョンヤンに教会が設立され、一応キリスト教の説教も教会内では許された。

WCCの幹部やチェコの神学者たちは、北朝鮮内に教会を作ることに協力的な態度をとることとした。なぜなら、体制側エリートにキリスト教に関する知識を付けておくことが有益と考えたからだ。
 それは先だってのドイツ統一でキリスト教が積極的役割を果たした既往による。
 ドイツでは東西に分かたれても、教会の力が強く、互いの神学校を行き来できるようになっていた。

 どれだけ世俗化が進んでキリスト教はなくならない。なぜなら、人間は宗教的動物だからである。
 「宗教は民衆のアヘンである」とマルクスはいい、共産主義では宗教は民衆を隷属させるものととらえられ、そこからの覚醒が説かれた。
 しかし、ロシアの宗教哲学者ベルジャーエフは一見対立するように思われる共産主義と宗教(キリスト教)が本質において同じ構図を持つことを見抜き、<人間は宗教的動物であり、もし真実唯一の神を否定するなら、その場合には自ら偽りの神々、偶像を作り、それらを崇拝する>と確信していた。

 2009年8月30日、民主党が308議席を獲得し、政権交代が確定した日。この日で東西冷戦構造が終わり、日本は近代の終わりに直面した。
 国家を成り立たせるには国家の原理が必要で、それは「国体」とよばれた。他方、国家の統治権の運用形式を「政体」という。
 マッカーサーが昭和天皇と会見したとき日本の政体はアメリカの意図に沿って、象徴天皇制へ変更された。
 アメリカに従うのが日本の政体となったが今後それは変わっていく。しかし、そのことに日本人の多くは気付いていない。重要なことは意識されずに「見えない世界」で起きている。宗教について考えることで、「見えない世界」への入場券を得ることができる。


タグ :佐藤 優

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