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Posted by 滋賀咲くブログ at

2010年08月27日

葛藤が燃え尽き、脂気が抜ける。

 昨日、ようやっと、4日間のアルコール依存症の研修が終わった。
 
 最終日の午後の講義は、1時間遅れで始まった。
 講義してくれたのは70歳代の白髪のジェントルマン。先代の院長らしい。
 アルコール医療の一時代を築いた人らしく、昔の苦労話をゆっくり喋られる。
 喋っていることはとても教科書的。
 というか、アルコール医療の黎明期に彼らが手探りでやったことが今の教科書になったのだろう。
 とてもイイコトを喋っていらっしゃる。
 が、しかし・・・つまらない。
 それは話の内容ではなく、その人の持つ雰囲気、というべきもの。
 今、現場の第一線に立つ人間の持つ、生々しいオーラや迫力、インパクトがすっかり抜け落ちている。
 おそらく彼が、現役の院長だったころはそういうのがあったし、我々に訴えかける力は今より強かったと思う。

 だが、悲しいかな今、彼の前にいて講義を聞いている人間は現場の第一線で、患者、家族、その他の人々の葛藤のど真ん中に立っている人間ばかり。
 そういう人間は、完成された教科書的な昔語りよりも、現場の生々しい現実を反映したエピソードを求める。
 たとえるなら、肉ばっかり食いたい10代の若者に、精進料理を勧める感じ。
 そりゃ、若者には物足りないだろうなぁ・・・
 残念ながら先代の院長はそんな生々しく脂ぎった部分がちょっと欠けていたみたいだ。
 ごめんね、おじいちゃん。
 あまり真剣に聞いてあげられなくて・・・(TT)、とマジで申し訳なくなった。  

Posted by キミドリ at 20:27Comments(0)精神科ネタ