医学部も、2年生になると専門課程が始まります。生理学や解剖などです。
厳しい受験戦争に勝ち抜いてきたけれど、最初の一年でそれなりの試験はあるけど、ぬるま湯につかってすっかり骨抜きになった学生たちには厳しいシーズンです(笑)。実際、留年者もぽつぽつと出てきます。
で、この学年になるとビックイベントが待ち受けています。それは・・・
「解剖実習」。
実際の人体を解剖することで、その機能を学習する実習です。
だいたい一般のヒトに「医学生です。」と自己紹介すると「え、じゃあ、解剖とかするんですか??」ときかれますが、そのとおりです。
だいたい一班4人で、一体のご遺体を解剖します。
実習の最初と最後に黙祷をささげます(u_u)。
「卒倒する学生とかいないのか??」と聞かれますがうちの学年ではいなかったですね。
さすがに最初にメスを入れるときは緊張しますが徐々に慣れてきます。しかし、それでもなかなか大変な実習であることにかわりはありません。精神的云々もありますが、3-4時間立ちっぱなしで体力的にキツいのです。
ところで気になる「ご遺体」ですが、コレは「献体」といって、「死後自分の遺体を医学のために役立ててください」と生前に希望された方のご遺体です。
実習の終了までに半年ほどかかるので、実際ご遺体がお骨になってご家族の元に返るのは死後1年後くらいらしいです。
その方々とご家族の篤志の上で成り立つ実習であることにはかわりありません。
怪談、というわけではないのですが実習中に人の気配を感じて振り向くとだれもいない、ということもたまにありました。
ところで、最近、新聞でこの「献体を希望する人の数が増えてきた」と記事が出ていたことがありました。なんでも「死後もだれも見取ってくれないのが寂しい」のが理由とか。
受ける側も「献体自体は喜ばしいが、そのような意向は本来ではないのでちょっと・・・」と書かれていました(正確でなくてスミマセン・・・)
さらにこの記事を書くためにネットで調べていて葬儀屋さんのさらに驚く記事に遭遇。
「葬儀代がない!なら献体を考えよう」
http://plaza.rakuten.co.jp/basiisi/diary/200705070000/
工エエェ(´Д`)ェエエ工
となりましたが、中身を呼んでみると「葬式の高額化で遺体を放置する例が増えている。それならば、火葬費はかからない、かつ、社会にも貢献できる献体も視野に入れてみてはどうか」という内容でした。
現実的な意見のひとつかな、と思います。にしても世の中の不景気が引き起こしたひとつの事象なのでしょうか・・・(u_u)
「献体」をするかしないかは確かに社会的な側面もありますが、きわめてプライヴェートな部分もあるのでどっちがいいなんて、わかりませんよね。