最後に残るモノ。【ウツネタ】

キミドリ

2009年04月13日 07:00

こないだ医局に落ちていた「スピリット」で「ブラックジャックによろしく」を拾い読み。
いまは腎臓移植編ですね。なかなかどろっとした人間ドラマでいいですよ。

ま、そのなかで、自身の腎不全の娘の自殺から、腎移植の社会的地位の確立に走る泌尿器科の教授の顛末が描かれているのですが。
「最後まで捨てられなかったもの、それはエゴ」とそのおっちゃんがいってます。
なかなか味わいのあるいい言葉だと思います。

よく、妄想バリバリで問題行動のある統合失調症の患者さんほど、「自分は病気ではない!皆オレを病気扱いしやがって!!」といいます。

医学用語でコレを「病識がない」といいます。

薬を飲めばそれなりに落ち着くのですが、「オレは病気じゃない!だから薬なんかのまねぇ!」となり、ますます症状がひどくなって、ひどいことになるのですが・・・
そうなると「あの患者さん、病識ないねぇ、困ったねぇ・・・」となるのですが、でも、ま、それではハナシがすすまないので、ナントカする必要があるのです。

このへんの「ナントカ」はなかなかにどろくさいくヂミチな過程なので、まぁ「ナントカ」としか言いようのない部分があります。ニホンゴってベンリですね。

さてさて。統合失調症の患者さんでも、ウツの患者さんでも「薬を飲む」というのは勇気のいる行動だと思います。
いくら外側の人間が「アナタの症状を取るためだから」とかいろいろ言ったとしても、最後には超大物の難敵が残っています。

それは「エゴ」。
もう少し絞って言うと、「薬を飲む」行為が「自分のアイデンティティを否定する」ことに繋がっていることが多いので、やっぱ難しいと感じる人は多いのです。

つまり、「こんな薬を飲まないとやっていけないなんて、自分は『欠陥人間』じゃないのか」という自問自答が毎回ついて回るのです。これはツライ。
かくいう私もウツまっただなかのときに「薬飲む??」と聞かれたけど「もうちょっと自力で頑張る」とお断りしたクチなので、ヒトのことはいえません。

エゴを殺せばすべて上手くいくって??
ははぁ、そんな非人間的なこと、如何な私でも言えませんねぇ。